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温泉山口編 1.神の島を望む、宮浜温泉> 2.湯本温泉で美肌を磨く> 3.深山の湯治湯・俵山温泉> 
4.日本海を望む絶景の公共浴場> 5.県道沿いの1軒宿、片倉温泉

編集人のこだわりを知りたい方は→

<旅のスケジュール>

1日目 5月1日 東京〜岩国
2日目 5月2日 岩国〜萩
3日目 5月3日 萩〜長門〜湯本温泉〜俵山温泉
4日目 5月4日 俵山温泉〜下関
5日目 5月5日 下関〜宇部
6日目 5月6日 宇部〜京都
7日目 5月7日 京都〜東京

萩市の藍場川周辺。農業用水路として、また庭や池など日常生活にも利用されていた。今はコイが放流され萩の中でも印象深い観光にスポットになっている。
vol.3 萩でも評判、深山の湯治場・俵山温泉へ

2001/5/28掲示

しっかり者の長州の女性たちに、城下町・萩で情報収集

 山陰の城下町にして焼物の里、萩は幕末の武家屋敷や豪商の屋敷が大切に保存され、雅な古都の風情漂う、超有名観光地である。津和野とともに語られることが多いため、内陸の城下町というイメージを持っている人がかなりいる。かくいう私もその一人だったが、実は日本海に面した町で、海の幸にも恵まれている(そして、なぜかこの港町PRに町の人たちはとても熱心だった)。港町によくある荒っぽさや威勢のよさは目に付かず、歴史を感じさせるまったりと柔らかな人当たりが印象的だ。
 私たちは、旅の2日目をここ萩で過ごし、かなりの情報収集に成功(?した。というか、萩の人たちはけっこうおしゃべりで、問うまでもなく次から次に旅のアドバイスが語られたのだった。特に女性がアドバイスには熱心。ある老舗和菓子屋の年配の女主人は、絶え間なく観光地情報を語るあいまに「萩の女は親切というか、おせっかいというか。人はいいんですよ」と笑いながら、またまた観光アドバイスを話し始めた。
 こんな土地柄だから、萩市内の情報はすぐにも集まる。しゃれた食事処の候補、この季節に食べていくべき魚、萩銘菓のいち押し、萩焼の展示会はどこそこで開催中、などなどだ。おせっかいだなんてとんでもない、見ず知らずの旅人にとても親切で、旅をしていて楽しい。
 残念だったのは、長く海が荒れた後で、地の魚が少なかったことと、萩独特の甘いしょう油にどうしても馴染めなかったこと(特に刺し身との相性が悪いと思ったんだけど、どうだろう?)そして、もうひとつ、たっぷり与えられた情報を消化するためにあと2、3日の時間が欲しかった。
 明日は温泉地へと考えながら、居酒屋で地酒を楽しんでいると、店主の口から萩周辺の温泉評が飛び出した。萩の場合は男性の方がやや控えめ(といってもわずか1泊の体験なので、一般論にはなりませんよ)で、問わず語りに、なんといっても情緒があるのは“俵山温泉”と落ち着いた。これには思わずVサイン、「私たち、明日は俵山です!」っと。

白猿が発見した深山の湯は、GWで芋洗い状態

 俵山温泉は、前回紹介した湯本温泉からさらに山奥へと踏み入った湯治場だ。「浴衣にゲタをつっかけて歩きたい」という表現を、萩の居酒屋の店主を含めて2人以上の人から聞かされた。着いてみると、なるほどゆるやかにカーブしている道の両側に昭和初期の建物らしい宿が軒を連ね、程よくひなびた風情がある。
 私たちの泊まった宿は、この通り沿いの一軒で、村を流れる川に向かって、入口が3階、客室が2階と下っていく奥の深い造り。古い建物らしく部屋付きの風呂やトイレはないものの、庭園を望む趣向を凝らした部屋で、清潔に保たれている。まずはホッ。だって、ひなびた山間の湯治場といえば聞こえはいいけれど、その実、オンボロなだけってことも一応覚悟してましたもん。
 俵山温泉の宿は多くが内湯を持たず、2カ所ある共同浴場を利用するそうだ。このために浴衣姿の宿泊客が通りを行き交うことにもなる。入浴1回につき340円。私たちは夕食後と、翌朝に計2回の入浴を楽しんだ。
 ちょっと恐かったのが入浴風景。人気の温泉地はGWで目一杯込んでいた。そのほとんどが共同浴場へ殺到するので、洗い場が足りない。じっと湯に浸かって温まっている間はよいのだけれど、みんな次第にのぼせてくる。ふと湯船の女たちを眺め回すと、20ほども並んだ洗い場をみんなで睨むようにして見つめている。これがけっこう迫力のある表情だった。
 さて、もう一つ。実は私たち、ビンボー取材なので宿代を少しでも安くあげようと、東京を出る前に宿にお願いの電話を入れてあった。「一人5,000円くらいでお願いできないでしょうか」って。「う〜ん、いいでしょう」となんとか了解をとりつけ、ヤッターと思っていたが、これがまた泊まってビックリ。湯治場なので連泊用の軽い食事があり、なんのことはない、私たちのお膳は、胃に優しい素朴で軽いものだった。私たちには温泉宿の食事=豪華という思い込みがあったが、ご主人は予算なりに相談にのってくれていたというお話。チーコは見た。もっと大きなお膳が運ばれていったお部屋もあったゾ!
 白猿が発見したという逸話を持つ山陰でも人気の湯治場で、湯はアルカリ性単純泉。村の共同浴場へ浴衣にゲタをつっかけて入浴に行くという行為がなんとも楽しく、ゆっくりできた。
<俵山温泉data>
問い合わせ先Tel0837-29-0001(俵山温泉合名会社)。大人340円、小学生150円、未就学児80円。

食事処「ふるさと家族」。おやじと3兄弟が切り盛りしている。漁師仲間から新鮮な地の魚を仕入れ、一品350円〜600円、昼の日替わり定食は550円〜とリーズナブルな値段で出している。
俵山温泉のメインストリート。ここを浴衣姿の若いカップルやおばちゃんたちがゆったりと湯どころに向かう。昭和初期にタイムスリップしたようだ。
左:雨が降り、しっとりとした新緑が美しい旅館「泉屋」の見事な庭。右:量的には満足するものだったが、温泉宿の食事に食べきれなかったらどうしようと期待と心配をしていただけに拍子抜け。(チーコ)
俵山温泉にある共同浴場。左が「川の湯」、右が「町の湯」。「町の湯」には萩の地ビールやアイスクリームなどを楽しめるテラス式の休み処がある。泉質はアルカリ単純泉。アルカリ含有量が日本有数として名高い。